実際に私は手掌多汗症のETS手術を受けました
みなさん初めましてナオヤと申します。
私は東京の渋谷にある山本英博クリニックという手掌多汗症の専門医で片側(右側)のETS手術(胸腔鏡下胸部交感神経遮断術)を受けました。(2006年)
もし手掌多汗症で手術による治療をお考の方であれば少しは参考にして頂けるのではないかと思い、今回私のETSを受けた際の実際の体験談をお話させて頂きたいと思います( ´ ▽ ` )
ETS手術を受けるための最初のステップ
まずETSを受ける前に、クリニックで行われるセミナー(10人程度の参加者)に参加し、実際に執刀する山本先生から手術の内容や副作用についての説明を受けました。
その後、個別の診察により、私の手汗は手掌多汗症レベル3(重度)であることがわかりました。
山本先生は深刻な感じではなく、関西弁のノリで明るく話されるので変に身構えることもなく、「これは病気です。治りますよ。」とおっしゃられてとても安心したのを覚えています。
なので私はこの先生に任せてみようと決心し、その1週間後に手術の予約を入れました。
ETS手術を受ける直前の心境と様子
今までずっと辛かった手汗が本当に今日で治るのか?という不安と期待が入り混じった複雑な気持ちで手術当日を迎えました。
ただ実際はETSは外科手術としてはそう難易度の高いものではなく、10分程度で終わり、失敗するようなこともないそうですが、それでもやはり副作用である代償性発汗のことを考えると不安は大きかったです(^_^;)
緊張で汗の出ている手をまじまじと見つめていると、手術を待っている時間はとても長くも感じましたが、振り返ってみると記憶に残らないほどあっという間に手術の準備が整ったようにも感じます。
手術は全身麻酔なので何もわからないまま終わりますw
いよいよ本番!一番大事なところですが、ETSは全身麻酔で行われるので手術の状況は一切記憶に残りません(^◇^;)
ストレッチャに横になり、全身麻酔のための点滴注射と酸素マスクをつけ、サポートの看護婦さんが「じゃ、はじめますね〜」みたいな感じで麻酔が投与されると、30秒程度で意識がなくなります。
ただ私は過去に全身麻酔経験(骨折のため)があったので、意識を集中してしっかりと全身麻酔を体感してやろうという意味不明な欲望にかられ、まぶたが重くなる瞬間をハッキリと認識するまで耐えましたw ただのおバカです(*^^*)
どんなにギンッ!と集中しても絶対にあらがえずに意識がぶっ飛んでしまいますよw
初めて全身麻酔される方だと、もしかしたら意識がなくなる瞬間すらわからないほどまさに瞬間的に眠りについてしまいますよ(´艸`*)
なので手術中は、「早く終わって欲しい」とか、「痛い」とか「怖い」とかは一切感じることなく終わるので安心してくださいということです( ´ ▽ ` )ノ
ETS手術直後に痛みや出血、傷跡は?
これは個人的な感じ方かもしれませんが、全身麻酔って普通に起きるのと違って、いきなりパッと目覚める感じなんですよね!
だから意識がなくなった次の瞬間にはもう手術が終わってるという「え?!あれ?!」みたいな不思議な感覚になりますw
さすがに手術室ではないので、手術が終わったことはすぐに認識できますが、「本当に終わったのかな?」みたいな感じですw
ただ手術が無事に終わったことを一番実感できるのは’’痛み’’です。
どんな痛みかを口で説明するのは難しいですが、脇の下の内視鏡を挿入するために切開した傷跡が痛むのではなく、まさに交感神経がある背中や肺のあたり、体の内側がズキズキ痛いという感じです。
痛みの程度は感じ方に個人差がありますが、私は転んで膝を擦りむいたよりも少しだけ強い痛みで、我慢できるけれども「痛つつ〜」といった感じです。
痛みの質については、経験がある方にしか伝わらないと思いますが、肋骨にヒビが入ったような感じに近いです(^◇^;)w
また手術による傷跡は直後からほとんど目立たなくて、5ミリ程度の線の跡がある程度です。(数ヶ月もすればほぼ完全に消えます。)
出血は人によるそうですが、ほとんどの方がすぐに止まるので、これも全く大したものではありません( ´ ▽ ` )
「あイタタ〜」なんて言いながら、手術が終わってから1〜2時間後にはもう病院を後にして電車で普通に帰りましたw
ETS術後1週間程度の手のひらの状態
じつは手術の直後から手の変化を実感できます!
汗はほぼ完全に止まっていて、いつもよりも明らかに自分の手が温かいんです!自分の手に感動しました(*´∀`*)w
良い意味で手の甲の血管が太く浮き上がって健康的な感じが目に見えてわかるほどです!
それと多くの方が、手術から2〜3日すると、多少の湿り気が戻るそうなので、決してETSの効果がなかったとか失敗ではないので安心してくださいね( ´ ▽ ` )ノ
あと痛みも日に日に少しづつ治まっていきます。
私の場合、深く呼吸すると施術部分がバリバリと、まるで体の中で傷が治ってカサブタになっているかのような感覚がありました。
そのバリバリという感覚も1〜2週間程度で少しづつなくなっていきました。
ETS手術から数年後の手のひらの経過報告
ETSを受けてから2〜3年後の手のひらの経過は、気がつかない程度のペースで少しづつ汗の量が増えた感じがあります。
ただこれも、湿っている程度であり、元に比べれば劇的に改善されていることは間違いなく、大きな支障も感じていません。
当初はせっかく手術したのに、また元に戻ってしまうのかと少し不安になりましたが、まぁ丁度良いだろうぐらいの湿り気で効果が持続しています。
というよりも代償性発汗をできるだけ抑えるために、そもそもこの程度の湿り気になることを意図されていたのかもしれませんし、もしかしたら気のせいも多少あるかもしれません(*´∀`*)その程度ですw
追伸:ETS手術から10年以上経った現在でも効果はしっかりと持続しています(^^)/
片側づつETSを受けるメリット・デメリット
片側ETSは発汗に左右差を生じてしまう
私は効き手である右手のみの手術を行いましたが、私の場合というよりも山本クリニックでは片側づつの手術を勧めています。
これはもちろん手術したことを後悔しないように片側で代償性発汗の程度を観察するためです。
たとえ想定以上の代償性発汗が起きてしまっても半分で済む、片側だけでまず様子を見られる、これはETSを片側づつ受けることの何よりも大きな’’メリット’’です!
私自身も手術直後から代償性発汗を体感しましたが、これはなかなか想像しきれるものではなく、単純に汗の量が多いのはもちろんですが、暑い夏場の状況などは実際に体験しなければわからないことが本当に多いからです(^◇^;)。
ただし片側づつ受けることには’’デメリット’’もあります。
まず当然ですが、片側だけでは不自由なときがどうしてもあります。
片方の手汗が止まってその便利さを知ってしまうと、もう片方の手の不便さをより感じてしまったりもします(^◇^;)
それに代償性発汗や味覚性発汗も手術した側だけに起こるので、身体のまさに中心から片側だけ汗をかくという不自然な違和感を感じてしまいます。
また、国民健康保険の適用で高額医療控除といって10万円以上の手術費用のうち上限10万円を超える部分は申請すると還付(返金)されるので、片方でも両方でも手術費用は同額になります。
つまり片方づつ受けるということは、2回手術費用払うということなので、上限金額の10万円を2回支払うことになり2倍の手術費用がかかってしまうことになります(^_^;)
結果には満足、それでもETS手術は受けるべきでない!
最後に私個人のETSに対する考がえを少しだけお伝えさせてください。
私は、実際にETSを受けて満足できていますが、もし大切な人からETSを受けるか相談を受けたら、決して勧めようとは思いません(^◇^;)
というのも、交感神経は体温調整や心拍数などをつかさどる人体にとって非常に重要な器官であり、本来は触ってはいけないものであることは間違いなく、代償性発汗も間違いなく起こるからです。
他に対策ができるのであれば、100%そちらを選ぶべきだと答えます。
ETSはその後の幸せを大きく左右してしまう希望とリスクが表裏一体であることを忘れてはいけません!
それに現実、手掌多汗症で悩まれていてもETS手術以外の手汗対策で十分満足されている方が非常にたくさんいらっしゃいます( ´ ▽ ` )
ETSはあくまでも最終手段であり、可能な限り避けるのが後悔しないためにも最善策ではないでしょうか(^^)/
最後までお付き合い頂きありがとうございましたm(_ _)m